富士見のひと
小古間かずささん(せっけん職人)

【第5回】 小古間かずささん

小古間かずささんは、関西から富士見に移住して約3年。富士見町特産のひまわり油を材料にしたせっけんを作っています。富士見でしか作れないというせっけんづくりに取り組む小古間さんに話を伺いました。

−−富士見に移住したきっかけは?

私はせっけんづくりを生業にしていて、『アトリエスクランブル』というショップを営んでいます。この町に移住してきたのは2015年。それまでは関西に住んでいたのですが、実家が原村にあって、この地域の良さを知っていたんです。以前から、ここでせっけんを作りたいなぁと思っていて。ちょうど町の移住促進制度ができて、思い切って応募したら活動を認めて頂いて、この町で始めることにしたんです。

–−ひまわり油に出会って

この町に住みたいと思ったのは、気候や風土ももちろんですが、この町にせっけんに適した素材があることを知ったのが一番大きいんです。それが富士見特産のひまわり油です。
もともとは立沢地区の田畑の休耕地を活かすための取り組みとして始まったと伺っているのですが、今ではひまわり油の製油所もあり、他の地域から製油の受注が来るくらい本格的に製造しているんです。ひまわり油って、知る人ぞ知る貴重な油なんですよ。さらっとしていて食用としてもいいですし、せっけんの素材としても泡立ちがマイルドで軽くて、とても使いやすいんです。
私の移住後に、ひまわり畑を営んで入る方々から「うちの油使わない?」と声をかけていただいて。すぐに素材をたくさん提供していただき、今は新しいせっけんづくりに励んでいます。

–−そもそもせっけんって、どうやって作るのですか?

基本的には、材料である油に水と苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えて固まらせる(鹸化させる)のですが、私が行う製法は「コールドプロセス」というもので、余計な熱を加えないで作る方法です。
苛性ソーダと油と水を混ぜて、自然に発生する熱を利用してゆっくり時間をかけて反応させます。そうすると、マイルドな使い心地と泡立ちの良いせっけんになるんですよ。
短時間で大量生産できる既存の製法(ホットプロセス)では、もともとの素材や油の成分が壊れてしまうようで、マイルドさが欠けるんです。せっけんって、「汚れも落ちるけど必要な皮脂もとってしまうような、肌にやさしくないもの」と思っている人も多いと思いますが、それはこの製法によるものだと思います。


–−お客さんの反応は?

コールドプロセスは大量生産には向きませんが、今まで通常のせっけんを使っていた方も、私のせっけんを使って、「本当のせっけんって、汚れだけがちゃんと落ちて、必要なものは残してくれる。一度使うと他のものは使えないね」って言ってくれることも多いんですよ。
ひまわり油を使ったせっけんの商品化の目標は、2018年の春から。今はそれを目指して試行錯誤しているところです。
「せっけんの良さ」「ひまわりの良さ」「富士見の良さ」この3つが詰まったような商品にして、町に貢献したいと思っています。

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