富士見のひと
中原英貴さん(コーヒー焙煎師)

【第4回】 中原英貴さん

富士見町民でコーヒー好きなら誰もが知っているコーヒーのお店、テーブルランド。富士見高原の奥地にひっそりとたたずむ焙煎所でコーヒー豆の販売を行うとともに、富士見町や八ヶ岳一帯で行われる様々なイベントでも美味しいドリップコーヒーを提供しています。
もともとテレビディレクターだった中原英樹さんは、妻の泉さんとともに、16年ほど前に富士見に移住しました。当初は二拠点生活で東京の仕事を続けていた中原さんですが、富士見の生活に魅せられ、コーヒーの焙煎という道を発見し、この地に腰を落ち着けて暮らすことにしました。中原さんのあゆみと、富士見で生きることの幸せについて語って頂きました。

テレビディレクターからコーヒーの焙煎師へ

八ヶ岳のふもとでコーヒー豆の焙煎をしています。お店では豆の販売もしていますし、地元のイベントに出店をしてドリップコーヒーも楽しんで頂いてます。
私の出身は東京で、16年ほど前に富士見町に移住するまでこの町に特に縁があったわけではありません。テレビ番組のディレクターとしてキャリアを積んできていたのですが、仕事でつながりのあった放送作家さんが隣の原村でペンションを営みながら生活していたんです。そこに時々遊びに行くなかで、「いいなぁ、こんな生活をしたいなぁ」という思いが強くなり、2001年、思い切って土地を買ってログハウスを建てました。妻と二人で生活の基盤をこちらに移したんですが、仕事は続けなければなりませんから、当初は富士見町と東京の二拠点でした。
でも、それを続けるうちに、だんだん東京に行くのが嫌になってしまって……笑。こんなに自然にあふれた快適な環境ですからね。

私が東京でテレビの仕事をしている間、妻はパン教室を開いて知り合いを増やしたり、富士見での生活基盤を着実に整えていました。そんなある時、妻の紹介で、コーヒーの焙煎機を製造販売している地元の方にお会いしたんです。もともとコーヒーは大好きで、自分でも色々と試したり飲み比べたりしていたんですよ。そこでその方が焙煎したコーヒーを飲ませてもらった時に衝撃をうけてしまって。
砂糖を入れてなくても自然な甘さがあるんです。「この味を自分でも再現したい!」と思って、この道に進むことにしました。

——職を変えることに不安はありませんでしたか?

いきなりテレビの仕事を辞めたわけではなく、二足のわらじを履きながら続けてきたんです。コーヒーだけで食べていく自信はありませんでしたが、そういう意味では不安はありませんでした。
でも、今ではすっかり焙煎の仕事が専業になりましたね。コーヒーはやればやるほど、面白くて奥深い仕事だと思っています。
うちのコーヒーの売りは「甘み」ですね。ていねいに手間暇をかけて焙煎すれば、豆の美味しさをきちんと引き出して、自然な甘さを出せるんです。「砂糖を入れなくても十分に甘くて美味しい!」と多くの方から感想を頂きます。大型ホームセンターに卸したり、多くの方にリピーターになって頂いて、おかげさまで楽しく仕事をしています。


——奥さんの泉さんとずっとお二人でお店を切り盛りされていますが、喧嘩することなどありませんか?

うちには子どもがいませんから、犬と猫を除けば妻とずっとふたりきりです。「ずっと一緒にいて大変なこともあるのでは?」と聞かれることもあるのですが、不思議と全くないですね(笑。
むしろ、歳を経るごとに愛情が深まっていると感じます。

田舎で暮らす幸せとは?

東京での毎日は「お金はあってもあくせくする生活」でした。今は山の中のコーヒー豆屋ですから、正直なところ、前の仕事に比べて収入は何分の一かに減っています。でも、幸福度ははるかに上がっていると感じています。よく妻と話しているんですが、「これだけ幸せな毎日で、お金まであったら申し訳ないよね」って(笑。 それだけ幸せな生活を送っています。

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